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2020.12.02
心臓弁膜症と言われたら・・・
心臓病コラム
紅葉の時期も過ぎ、
朝夕めっきり寒くなって参りました。
水曜日担当の堤です。
最近、テレビでも盛んに循環器病、
特に弁膜症のメッセージが放映されるようになり、注目度が上がってきたように思われます。
特に、息切れ、動悸が代表的な症状で、
患者さん自身がまずこの病気を疑う事が推奨されております。
実際、心臓には部屋が4つ有り、それぞれ、逆流を防ぐ弁が備わっており、即ち4つの弁が存在することになります。
どの弁が故障してもそれぞれ違った症状を引き起こすのですが、
通常問題になるのは、肺から酸素を取り込んだ動脈血が流れる左心系(左心房、左心室)に備わる僧帽弁、大動脈弁と呼ばれる弁です。
弁がその役目を果たさなくなる過程には大きく2種類があり、硬く変化し狭窄を起こしてしまうか、もう一つは延びたり拡大したりして逆流を起こしてしまうかのどちらかになります。
1)僧帽弁の病気
僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁ですが、この弁が狭窄ないし逆流を起こすと、肺静脈という血管に圧が余分にかかり、肺そのものに影響します。
肺はご存知のように呼吸するための臓器ですから、よくある息切れは僧帽弁が原因の、肺の症状である事が多いのです。
診断は聴診器と、心臓エコーでほぼ確診できます。
暫くは内服治療が行われますが、進行性の病気ですので、いずれは手術が必要になる事は避けられません。
狭窄症の場合は、弁が硬く変性している為、人工弁に変えざる得ない事が多いのですが、逆流性の病気は、殆どが自分の弁を残して形成する手術が行われます。
以前に比べ、手術も極めて安全な時代になって来ました。
心臓の手術なんて!と恐れる事なく治療に前向きになられることをお勧めします。
2)大動脈弁の病気
大動脈弁は左心室と大動脈の間に存在する弁です。
人は年齢を重ねる事で血管の老化は避けられませんが、これは即ち動脈硬化という形で現れて来ます。
大動脈弁には血管と同様の変化が起きてくる事がよく有り、この動脈硬化が狭窄症を引き起こします。
進行すると動悸や、ひどい時には胸痛を引き起こします。
この病気も聴診器と心エコーで確診出来ます。
治療は現在はカテーテルによる人工弁留置が行われ、極めて簡便になって来ました。
この狭窄症は、残念ながら突然死を引き起こしますので、治療は必須とお考えください。
一方、逆流を起こす病態では、カテーテル治療の適応では有りません。
現在も開胸手術による人工弁手術が行われております。
ただ、この手術も時期さえ間違わなければ、極めて安全な時代になって来ましたので、僧帽弁同様、ためらう事なく治療をお受けになることをお勧めいたします。
以上、簡単に弁膜症のお話をいたしました。
ご参考になれば幸いです。
当院は、糖尿病のエキスパート以外に、弁膜症の専門家も揃っております。
お気軽にご相談くださいね。