福井県福井市の内科「たかさわ内科クリニック」

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2024.01.31

災害と高血圧

心臓病コラム

こんにちは、水曜外来の堤です😀

今日は災害と血圧についてのお話をさせていただきます。

 

わが国は、ユーラシア大陸の東端に位置し、

日本海溝をはさんで太平 洋と向き合う火山国であり、

美しい自然や四季と引き替えに、古来から多くの自然災害を経験し、

またそれ を乗り越えてきた歴史を有します。

この 長い自然災害の経験が、無常観をはじめとする

日本人の人生観や世界観にも大きな影響を与えてきた面があるでしょう。

 

――日本循環器学会、高血圧学会など2014年版 災害時循環器疾患の予防・管理に関するガイドライン序文より抜粋 ――

 

 

令和6年(2024年)の幕開けは、

能登半島大震災で始まり大変辛いものとなりました😢

 

未だ避難所にて厳しい生活を余儀なくされている方々には心からお見舞い申し上げます。

また、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、ご遺族には衷心お悔やみ申し上げます。

 

思い起こせば、ここ三十年の短期におきましても、

1995年1月の阪神淡路大震災、2011年3月の東日本大震災、更には2016年4月の熊本大震災があり、それぞれマグニチュード7を超える巨大な負のエネルギーを発生し、今回と同等もしくはそれ以上の被害をもたらしたことは記憶に新しいものです。

 

さらにはやや小規模の地震や、台風、集中豪雨などを加えると、災害という観点から日本人が経験した苦難は枚挙に暇がありません。

 

また、今回の地震は寒冷な時期に発生したこと、

沿岸地域を中心に多くの住民が 津波で家を失い避難所・仮設住宅での避難生活を余儀なくされていること、

能登周辺地域のライフラインが機能停止に陥ったことなど、

精神的・肉体的ストレスにより住民の健康状態にも甚大な影響を与えている点で東日本大震災とやや似通った部分があるとも言われております。

 

このように現代は災害といかに向き合って自立した生活を行い得るか、

言い換えればサバイバルの重点が置かれているように思います。

 

これは医療全般に渡ることでありますが、

それはスペース的にも無理なので、ここでお伝えしたいのは、前記のガイドラインを参照しながら、災害時高血圧という病態に絞ってみたいと思います。

 

 

まず高血圧を引き起こすメカニズムは、

災害による環境の変化,ストレス,睡眠障害により,自律神経である交感神経(これは意識下ではどうにもならないのですが・・)が活性化され,末梢血管の収縮や心拍出量の増大を生じ,直接的に血圧の上昇に寄与するというものです。

 

 

これまでの大震災では、

災害発生1~2週間後に上の血圧(収縮期血圧)が平均で18-20mmHg上がっており、災害前は上の血圧が120程度だったのに、災害後200以上になったという人もいたそうです。

 

上の血圧が20mmHg上がるごとに心臓血管系の病気のリスク(心筋梗塞や脳卒中)は2倍になると言われていますので、ふだん120の人が180になると、リスクは8倍近くになってしまいます。

 

これは避難生活で交感神経の働きが強まることが重なることで血液が固まり、血栓ができやすくなり、これらのことが血管が詰まることで起きる脳卒中や心筋梗塞を引き起こしていたとされています。

 

少しお話が難しかったでしょうか?

ただ、普段は当クリニックで高血圧と言われても

あまり気にせず受け流す患者さんも、こと災害時になるとそれが生死を分ける原因の一つになり得ることを十分に認識して頂きたいのです。

 

おとなしい猫が一瞬にして猛獣に変化致します。

災害時直接死因は家屋の倒壊とか火災・津波による死因が殆どでしょうが、災害関連死となるとこれら循環器疾患の悪化が大きな比重を占めております。

まずは普段からの病気に対する意識をさらに強化して頂くことを切に望むものであります。

 

 

最後に、能登地方というと

我々昭和の世代にとっては松本清張の「ゼロの焦点」を始め、

いろいろなドラマの舞台となった土地柄で、

家族と「今年は旅行したいね」と相談していた矢先でした。

 

また、2024.1.16福井新聞・越山若水では

「―能登はやさしや土までも―と古くから言い習わされ、これは能登の厳しい風土の中で、素朴で人情味あふれる土地柄をうまく表している」と指摘されております。

まだまだ余震も落ち着いておらず、復興事業も始まったばかりですが、

なんとか一日でも早く普段の平穏と素晴らしい芸術的価値をを取り戻されんことを願っております。

 

 

 

たかさわ内科クリニックは、内科、糖尿病内科、循環器内科、予防医療を標榜に掲げております✨

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