ブログ BLOG
2020.04.30
高コレステロール血症の治療について(PCSK9阻害薬)
内科コラム
院長の高澤です。
コロナウイルスの影響で、テレワークや外出自粛により
運動量は減っているのに、ついつい食べる量が増えてしまう方も多いのではないでしょうか。
今日はコレステロールについてと、当院での高コレステロール血症の治療についてお話ししたいと思います。
■コレステロールって何だろう?
コレステロールは、人間の体内に存在している脂肪分のひとつです。
コレステロールと聞くと、体によくないイメージがあるかもしれませんが、「細胞膜を作る」「性ホルモンや副腎皮質ホルモン、胆汁酸などを作る」材料であり、また、「ビタミン類を代謝」する役割を担うなど、人間の体にとって欠かすことのできない大切な成分なのです。
■コレステロールが体によくないと思われているのは
どうして?
上記のようにコレステロールは人間の体にとってなくてはならないものであり、私たちは食品から日常的に摂取しています。
体内のコレステロールの量は体に備わる恒常機能によって一定に保たれるものですが、何らかの原因によって血液中のコレステロールの量が増加すると、動脈硬化が起こりさまざまな病気を引き起こしてしまいます。
■診断や症状について
高コレステロール血症(高脂血症・脂質異常症)とは、LDLコレステロール値が140mg/dl以上、HDLコレステロール値が40mg/dl未満、中性脂肪が150 mg/dl以上で診断します。
LDLコレステロールとは悪玉コレステロールのことであり、HDLコレステロールとは善玉コレステロールのことです。
高コレステロール血症そのものには、自覚症状はほとんどありません。
しかし、放っておくと、血管の動脈硬化が少しずつ進んでいきます。
動脈硬化が起こると、血管の内腔が細くなります。
さらに血管そのものが固くなり、弾力性が失われます。
その結果、血管が詰まったり、もろくなって破れやすくなったりします。
動脈硬化症が脳に起こると、脳梗塞や脳出血に、心臓に起こると狭心症や心筋梗塞に、足に起こると末梢動脈疾患という病気になります。
いずれも怖い病気で、生命が奪われることがあるのです。
■治療について
治療ではまず生活習慣の改善を行います。
ここには食事療法、運動療法のほか、動脈硬化症のリスクを少しでも減らすため、禁煙や肥満の是正も行います。
それでも改善が十分でない時は薬物療法が行われます。
当院では、家族性高コレステロール血症や治療抵抗性高コレステロール血症、スタチン不耐性の患者さん(※)に対してPCSK9阻害薬(商品名 レパーサ等)の治療を行なっております。
(※筋障害の副作用が生じてしまい、有効量のスタチン服用が継続できないことを「スタチン不耐性」といいます。患者さんがスタチン不耐の場合、スタチンの服用を中止または減量するとともに、スタチン以外の薬剤による治療が考慮されます)
特にスタチンと呼ばれている薬や、PCSK9阻害薬という薬では、50%~75%もLDLコレステロールを下げることができます。
スタチンやPCSK9阻害薬で強力にLDLコレステロールを低下させると動脈硬化症が減り、プラーク(脂肪の塊)も安定化し退縮する可能性も論文で発表されています。
新しい治療法がどんどん開発されていきますね。
さて、これまで高コレステロール血症のお話をしてきました。
食事と運動に気を付けて、健康寿命をのばしていきましょう!
わたしも最近はジムにも行けなくなってしまったので(自粛中)
お天気の日にはランニングでもしようかと計画中です。